/心を和ませてくれるガラスのうつわ【インタビュー】作家・黒川登紀子さんが生みだす、癒しのガラス

心を和ませてくれるガラスのうつわ【インタビュー】作家・黒川登紀子さんが生みだす、癒しのガラス

「まったり」「穏やか」「和む」この言葉を聞いて、みなさんは何をイメージしますか?

私の場合はガラスです。

和やかで美しい色合いとやわらかなその形を眺めていると、なんだかほっこり、不思議に穏やかな気持ちになってくるのです。ガラスなのにガラスの危うさ、脆さというものを感じさせないまったりした和みのガラス。まるで視覚のアロマテラピー。

そんな癒しのうつわを生み出すのは、ガラス作家の黒川登紀子さん。香川県高松市にあるギャラリー「NISHI NISHI」で、どうして黒川さんのガラスはこんなに人を和ませる力があるのか?その謎について聞いてみました。

 

入手困難。黒川登紀子さんのガラスの魅力とは?

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和洋中問わずどんな料理にも合う食器でありつつ、そこに置いておくだけでインテリアにもなってしまうのが黒川さんのガラスの特徴です。

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使いやすそうなやわらかなフォルムと、独特のやさしい色使い、一目でとりこになってしまいませんか?

とろみのあるスモーキーなベージュに落ち着いた水色のふちどりが入ったボウル、どんなものでも美味しく見せてくれそうな柔らかなピンクのお皿。深い海の色のような群青に白のうつわはカップとしてだけでなく小鉢としても使えそうです

もうもう、私なんかは全部お持ち帰りしたいくらいなのですが、黒川さんの作品は個展を開けば即日完売、入荷の告知をすればお店に問い合わせが殺到するほどの人気っぷりで、なかなか入手するのは困難な憧れのお品なのです。(いつかマイコレクションにしたいものだ…)

今回は撮影のため、黒川さんご本人からお借りしたものを並べさせていただきましたが、こうやって見ているだけで、なんだかまったりと幸せな気持ちになってきます。

まるで視覚のアロマテラピーとでも表現したらいいのか、眺めているだけで癒されてしまう不思議なガラスです…。どうやって生み出されているんでしょうか?

【インタビュー】黒川さんのガラスは、なぜ人を和ませるのでしょうか?

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こちらが、癒しのうつわを生み出している高松在住のガラス作家・黒川登紀子さん。

「ガラスって緊張するじゃないですか?薄いエッジに細いステムのワイングラスなんか持ちながらビクビクしちゃいますよね(笑)。そんな緊張せずとも日常生活で気軽に使えるうつわを作りたいな、って思ったところから始まったんです。だから、私のうつわは厚みもあるし、色も不透明色が多かったりするので、安心感が生まれるんじゃないですか」

黒川さんのガラスを見るとまったりした気持ちになってしまうんだけど、なぜでしょうか? という私のちょっとヘンな質問から始まった黒川さんへのインタビュー。

「形も持ちやすくて使いやすく、なるべくならスタッキングができるものを心がけていますから、シンプルな分頑丈な感じがするのかも」と、妙な質問にも丁寧に、そして楽しく言葉を返してくれる黒川さん。

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黒川さんは作品をつくる時にはまず色を考えて、そしてその色を形に表すイメージで作品を制作していくのだそう。

「同じ色でもクリアなものと不透明なもの、差し色が入るもの、入らないもの。色んなバリエーションがあって、色んな表情のガラスが出来るから面白いですよ」

そんな黒川さんのさまざまな色を表現しているのはニュージーランドのメーカーのもの。全部で120色以上もあり、画材のようにそれぞれの色によって値段が違うんだそうです。

「高価な色の原料を扱う時には緊張します。原料の値段考えちゃうと、絶対に失敗できない!ってもう追い詰められた状態で作ってますから(笑)」

と、お茶目に笑う黒川さん。空間を和ませてしまう黒川さんのきれいなガラスの色って、メーカーそのままの色じゃなくて、楽しい黒川さんだからこそ出せる明るい色合いなんだろうな、と思ってしまいました。

【インタビュー】黒川さんのガラスは、なぜ人を惹きつけるのでしょうか?

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色の組み合わせだけでなく、異なる素材とガラスの組み合わせを形にするのも面白いという黒川さん。

このこっくりしたグレーの小瓶はコルクにインスピレーションを得て、そこから生まれたものだそう。

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そしてイメージ通りの作品に仕上がった時の嬉しさは何ものにも代えがたい、と黒川さんは力をこめて話してくれます。

「ガラスはすぐに作品の出来が分からないんです。作った後に徐冷炉という装置の中で、一晩温度を落ち着かせた後じゃないと。だから朝は前の日に作ったものを徐冷炉から取り出して、チェックする台の上に置いていくわけなんですけど、その時が一番ワクワクします。頭の中でイメージした色と形が次々と台の上に並んでいく瞬間が。アイデアが実際のガラスになって目の前に現れる朝のひと時は、もうたまらなく幸せですね」

そう語る黒川さんの目は輝いていて、本当に楽しそうで、朝のガラスをチェックする黒川さんの幸せオーラが作品に移ってるんだろうな、だから黒川さんのガラスはそれを手に取った人も幸せにさせてしまうんだろうな、とつくづく感じてしまいました。

NISHI NISHIのおかあさん、ゆみこさんもこう言います。

「ときちゃん(黒川さん)って真面目に頑張る人でしょ。あの暑い工房の中で一人でガラス作って、主婦としても忙しいのによくやってるわよ。そんな一生懸命頑張るときちゃんのパワーがガラスに移るのね。そう…ときちゃんのガラスには愛があるのよ!だから人を惹き付けるんじゃないのかしらねぇ…」

 

黒川さんお気に入りの色って?

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黒川さんのガラスといえば、オレンジ、紫、青、赤や黄色などのカラフルな色ガラスが人気ですが、黒川さん自身は落ち着いた色が好みなのだそう。

今回撮影させてもらった作品の中で、黒川さんが一番気に入っているというのが、この爽やかで不透明のグレーにピンクの縁どりのこの小皿。

普通はグレーに爽やかという表現は使いませんよね、でも黒川さんのグレーだとそうなっちゃうんです…!のびのびしたグレーとでも言ったらいいのか、柔らかなグレーに可愛くピンクが効いた黒川さんらしい一枚です。

黒川さんの作品はとにかく、まったりしたベージュとかグレーなどの落ち着いた色合いが独特な癒しの色なんです!これは写真じゃうまくお伝えできませんので、ぜひ機会があれば実物を手に取ってみられることをおすすめします。

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単色よりも色の組み合わせで作品を考えるという黒川さん。最近は縁どりのあるものが気に入っているそう。

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「お気に入りの作品を手にポーズとってください」の注文に、「え、これでいいかしら?こうかしら?」と照れながらも優しくポーズをとってくださる黒川さん。

 

黒川さんを見守り続けてきた「NISHI NISHI (ニシニシ)」

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NISHI NISHIは黒川さんの高校の後輩にあたるあやさんと、あやさんのお母さんのゆみこさんが2人で経営する、20年以上続く高松のギャラリー兼セレクトショップ。

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懐かしさを感じるくつろぎの空間の中に、可愛くて味のある小物や雑貨がディスプレイされ、期間毎にさまざまな作家さんたちの個展が催されています。

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駆け出しの頃から付き合いがあるというNISHI NISHIは、黒川さんにとってものんびりくつろげる場所。あやさん、おかあさんのゆみこさんとも家族のような付き合いなのだそう。

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なんともまた、癒されるNISHI NISHIのほっこり感…。

こんな、訪れる人をリラックスさせてくれる、あたたかなお風呂のような雰囲気から、黒川さんは「ニシニシ湯」と呼んでいるんだそうですヨ(笑)。

 

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三人の人柄が反映されたようなNISHINISHIは、まったりと心地よく、子供時代の土曜日の昼下がりのような、どこか懐かしくてあたたかさに包まれた空間でした。

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NISHI NISHIでも黒川さんの作品を扱っていますが、なんせ人気のためすぐに完売となってしまうことが多いです。が、黒川さんのガラスや黒川さんご本人とも共通する癒しの店内の雰囲気を感じるだけでも行く価値大ですから、高松を訪れたならぜひ足を運んでみてください。

シンプルな中に包み込むようなあたたかさがあり、何でもない毎日にそっと寄り添ってくれる、黒川さんの癒しのガラス。淡々と続く毎日にちょっと疲れたら、食卓やキッチンに採りいれて、日々の生活に彩りを与えてみてはいかがでしょう。

 

NISHI NISHI【ニシニシ】

営業時間:11:00~18:00
定休日:水曜
Web:http://nishinishi-nisshi.blogspot.com/
住所:香川県高松市伏石町1583