/宇和島・嵐の伝統!180年続く由良神社の和船競漕

宇和島・嵐の伝統!180年続く由良神社の和船競漕

 

 

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こんにちは、まめてっぽーです。海の日も過ぎて、いよいよ本日四国も梅雨明けしました。

今日は海のまち宇和島の嵐・下灘地区で先週の土曜日、7月15日に行われた由良神社の神事、珍しい10丁櫓の和船競漕を紹介します。

場所

お祭りが行われる由良神社は山崎鼻という半島の先端にあります。地図を動かして見つけてみてください。

和船競漕は神社と下灘漁協の中間位のポイントからスタートし、下灘漁協前のゴールに向かって湾内を漕いできますので、陸上からだとレジャー津島~兵頭自動車整備の辺りで見れるかも。嵐のバス停で降りてスグです!

和船競漕の由来

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由良神社は昔Aの場所にありましたが、1837年に現在のBの場所に移されました。そしたら突然、青線の部分に波堤が立ち舟の航行ができなくなりました。

「神様がお怒りになってしまった…!」困った村人たちは神の怒りを鎮めるために、海の神社らしく2隻の舟で奉納相撲ならぬ奉納競漕を行ったところ、波と波が衝突して水堤が崩れ、元通り舟の航行ができるようになったんだそう。

それ以来、横浦~田之浜地区の紅組と嵐~須下地区の白組に分かれ豊漁祈願も込めて、毎年7月15日に和船競漕が行われることになりました。

舟に乗り込んで由良神社へ!

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8時の開会式が済むとすぐに舟に乗り込んで、由良神社へ向けて出発します!

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下灘地区は人口約2000人。しかし入り組んだ複雑な地形をしているため自治会は21もあり、昔は小学校が7つ(!)もあったんだとか。

今は高齢化が進み、小さな小学校がひとつだけです。

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陸路からも由良神社には来れるそうですが、普段使っている道ではない(!)とのことで、通常は舟でお参りするのだそう。

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手漕ぎの和船は当たり前ですが、時間がかかります。

山道をバイクで登る時にもいつも思うんですが、エンジンってありがたいな…。

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漁協前の湾奥の淀んだ海の色とは違って、湾出口の神社前の海の水はこんなにきれい。

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紅組船がやってきましたが、暑いのでみなさん大変そうです…。まだ8時を過ぎたばかりなのに、ものすごく暑い…。

由良神社祭神スセリヒメノミコト

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由良神社の祭神は須勢理姫命(スセリヒメあるいはスセリビメノミコト)。

スサノオの娘で大国主の正妻のスセリヒメ。古事記によれば力も知恵もある女神ですが、非常に嫉妬深い。そしてダンナの大国主は側室(?)をとっかえひっかえ、妻子の多さがハンパない!だったためトラブルが絶えなかったんだとか。

ギリシア神話のゼウスと正妻のヘラもそんな感じだし、神様の家庭というのはどこでも同じなのかも…( 一一)?

年に一度の御開帳

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年に一度、このお祭りの日しかご開帳しない由良神社。8:30くらいから約1時間かけて神事が行われます。

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青法被はお神輿かつぎ、白ハチマキ、赤ハチマキが和船競漕担当の方々。

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しめ縄をくわえている謎の動物。何でしょ、これ?龍?狛犬?

目はガラスかな?何か木ではないものがはまっているように見えます。

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青空に映える立派なしゃちほこ鬼瓦。

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しかーし、本殿の足元が!ダイジョブなのかな…??

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上のお座敷ではたくさんの人たちが座り、巫女さんたちが舞を奉納しています。( 巫女さんたちは小5なんだって。)

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そして奉納太鼓も小学生が担当。カッコイイ!

神社からお神輿が出発!

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そして約1時間の神事が終わり、9:40頃からまた舟に乗船。画面右のオレンジの着物を着てる方は采(ざい)振りと言って櫓の音頭をとる方です。采配の采ですね。

船の先頭に立ってチアリーダーのポンポンみたいな采を振り、オーケストラの指揮者のように、櫓を漕ぐリズムを作ります。漕いでいる間はずっと全身を使って飛び跳ねているので、なかなか大変なんだそうです。

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お神輿も船に乗って嵐地区に向かいます。

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巫女さんもお神輿にアテンド。

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こちらの船に乗って行きます。

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神様ご一行、ご出発!

面白い船頭さんのおはなし

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そしてしきたりに従い、和船は船にひっぱられて反時計まわりに湾内を3周します。

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海の上、照り返しはキツイですが風が気持ちいい。

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画面右側の神社がある半島先から、エンジン船の旗奥に見える由良半島の赤碆まで波堤が立ったんだそう。

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11時の競漕スタートまで約1時間かけて(!)湾内を3周します。その間船頭さんとたっぷり!!お話ができました…。

奥の黒いボールみたいなのは真珠養殖の浮きです。

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中央の四角い建物がこの和船を作ったところなんだそう。「あれら船はさー、山下造船のじーさんが造ったんだよ。櫓は樫、船体は杉で造ったんだよ。」と船頭さん。

30年前にあんな凝った船を造った山下のじーさん、すごい…。

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真珠や鯛などの養殖イケスがいっぱいの湾内。湾に面したわずかな平地に家屋が立ち並び後ろはすぐ山!という典型的な南予の地形。

「昔はさぁ、ここら辺の山は全部段畑になってて、遊子の水荷浦みたいだったんだよ。そこに芋植えてさぁ。それを干して蓄えておいていつも食べてたね。米なんか特別な時じゃないと食べれなかったよ。子供の頃はだいたい干したサツマイモとか麦とか食べてたね。孫はさぁ、焼き芋が好きだっていうけどオレは嫌いだね。もうイモは食べたくないよ。」

船頭さんの子供時代って、だいたい60年くらい前でしょうか。。

「遊子水荷浦って何?」って方はこちらの記事をどうぞ。

 

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山が崩れています。この崩れたところのすぐ上に道が走ってるそうです。こわいー!

 

いよいよ開始!和船競争漕

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こんな感じで待つこと1時間。走っていてくれるので、風はあるんですが照り返しが暑い。そしてライフジャケットも暑い!

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11時前になり、ウォーミングアップを終えた両船がスタート地点に集まります。

船頭さんが紅組地区の方なので紅組船に近いところで、こちらの船もスタンバイ。

18歳~60歳までの社会人男子が28人ずつ乗った2隻の舟が、紅白のチームに分かれて800mのコースを競漕します。(チームの区分けは和船競漕の由来をご参照下さい。)

あくまでも地区で分けた組分けであり、不公平さをなくすための入れ替えは一切行ってないそう。なので、若者が多い白組が近年勝利しているそう…な…。

10丁櫓の船は各櫓を4人で漕ぎ、舵取り采振り合わせての44人乗りが標準ですが、高齢化が進み人員の確保が難しいため、近年は28人ずつとなっています。

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スタート位置につき、櫓を構えて合図を待ちます。ちなみにこの樫の木を削って出来た櫓、一本10万円(!)なのだそう。

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合図で両船漕ぎだしました!

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どっちも同じくらいかな??

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白が少し出ました。

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白が完全に出ました!(隣の船頭さんのがっかり感が伝わってくる…(^▽^;)

 

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白の勝ちです!(やっぱり若者が多い方がパワーがありますよね…)

この暑い中、両チーム共に約10分間全力で船を漕いで、みなさんお疲れさまでした。

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船はレースの後、向こうに見える倉庫に戻され、また来年の競漕に備えて大切に保管されます。

下灘地区の和船競漕は毎年7月15日に行われます。雨が降ろうが台風が来ようが、行われます!(ホンマかいな?)ちなみにここ20年以上、天候不良で出来なかったことは一度もない!のだそうです。 やっぱり神様も和船競漕がお好きな様子ですね。

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今日はここまで!です。読んでくださってありがとうございました~(^O^)/