/全国のシェフが絶賛する、愛媛産養殖真鯛「鯛一郎クン」。そのおいしさのヒミツとは?

全国のシェフが絶賛する、愛媛産養殖真鯛「鯛一郎クン」。そのおいしさのヒミツとは?

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真鯛の養殖生産量日本一を誇る愛媛県。養殖される真鯛の2匹に1匹が愛媛産といわれ、国内シェアの半分を持つ県内では数々の養殖業者が、日々おいしい鯛づくりに邁進しています。

そんな鯛づくりのメッカ、愛媛の真鯛の中でも抜群の人気があるのが、宇和島産の養殖真鯛「鯛一郎(たいちろう)クン」。

全国の有名レストランのシェフたちが「天然真鯛にも匹敵するおいしさ、料理のしやすさ」とこぞって指名するブランド真鯛です。

そんな和洋中の名立たるシェフたちから絶賛される「鯛一郎クン」の生みの親、生産者の徳弘多一郎(とくひろ・たいちろう)さんを訪ね、その養殖真鯛にかける心意気と鯛一郎クンのおいしさのヒミツについて伺いました。

養殖真鯛の産地、愛媛県宇和島市

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松山市から車で約1時間半、四国の西南に位置し、九州との間の豊後水道は宇和海に面した宇和島市。海と陸地が複雑に入り組んだリアス式海岸をもち、柑橘栽培や鯛やブリ、真珠養殖が盛んな南予の中心都市です。

6月下旬の取材日は好天に恵まれ、海と空の青さが際立つ美しさでした。

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リアス式海岸の湾内は一年を通して波が低く風の影響を受けにくいため、養殖産業に適しています。鯛一郎クンのふるさと、(株)タイチもそんな穏やかなリアス式海岸の湾の中にあります。

全国のシェフたちが絶賛する「鯛一郎(たいちろう)クン」とは?

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こちらが、約2㎏のまるまると太った「鯛一郎クン」。なかなかいいお値段とのことですが、天然鯛にも匹敵するそのパフォーマンスから、全国の有名シェフたちからのオーダーが途切れない高級養殖魚です

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養殖真鯛は「ニオイがあるので刺身にできない、スープがとれない」などとの声がありますが、鯛一郎クンにはあてはまりません。

私もお刺身の鯛一郎クンを食べたことがありますが、モチモチした歯ごたえが絶品の鯛刺で、養殖魚にありがちなくさみは全くありませんでした。また、「骨や頭の部分を煮込んでもきれいなスープがとれる」と、今や料亭やレストランだけでなくラーメン店からも重宝されているのだそうです。

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体が黒色で長方形の短い尾びれを持つといわれる、養殖真鯛。しかし、鯛一郎クンはこのとおりの鮮やかな赤い色とV字の長い尾びれで、見ためも天然真鯛のようなのです。

f:id:tepo1173:20180622225357j:plain 飲食店を紹介する雑誌や料理本などに、鯛一郎クンを絶賛するシェフたちのコラムが数々掲載されています。

真鯛養殖42年のベテランがおこなう、鯛一郎クンの出荷作業

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そんな すごい「鯛一郎クン」の生みの親が、こちら (株)タイチのお頭こと、社長の徳弘多一郎さん。ご両親がつくった真鯛養殖の会社を継がれて今年で42年です。

天然真鯛に負けない養殖魚をつくりたいと日々研究を重ね、16年前に1代目鯛一郎クンを生み出しました。今も養殖業の可能性を探り続けながら、鯛一郎クンをパワーアップさせるための研究を毎日欠かしません。もはや、魚会社の社長というよりも、大学の研究室にいる教授のような雰囲気の徳弘さんです。

 「 鯛一郎クン」の出荷作業

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鯛一郎クン育成のヒミツを伺う前に、ほぼ毎日、早朝6時頃より行われている出荷作業を見学させていただきました。

まずは沖合よりイケスごと魚を、正面のいかだ横に持ってきます。そして、イケスよりクレーンの網で魚をすくい、いかだ上の作業プールに魚を移します。

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ちなみに「鯛一郎クン」とは徳弘さんの名前、”多一郎”と鯛をかけて名付けられました。

クンをつけた理由は、「自分と同じ名前が呼び捨てにされるのはイヤだったから!」なのだそう。

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プールの鯛一郎クンを職人ワザで優しく捕まえて、

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囲いに一匹ずつ入れ、「鯛一郎クン」のタグを背びれに着けます。

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そして活魚車に載せて出荷します。早朝から活魚車が何台も港の前に並び、ピチピチの鯛一郎クンを全国各地へと送り届けるのです。

宇和海に浮かぶ海洋牧場、「鯛一郎クン」のイケスへ

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出荷作業が一段落したところで、鯛一郎クン育成のヒミツを探るべく、沖のイケスのエサやり作業に同行させていただきました。

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イケスは12m×12mに深さ10m。このサイズだと通常は1万匹入っているのが標準らしいですが、徳弘さんは8千匹しか入れてないのだそうです。

「僕はねぇ、肉質の向上とかそういったことよりも、順番として、まずは鯛にとって過ごしやすい環境で育ててあげたいんだよね。ニワトリで例えれば、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた鶏舎のブロイラーじゃなくて、地面を走り回る元気な地鶏が育つ環境、のイケスで育てているイメージかな」

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イケスに黒い日よけがかけられているのは、鯛の鮮やかな赤色を生み出すため。もともと深海にいる鯛は深さ10m程度の浅い場所だと、日焼けしてしまい、黒くなってしまうといいます。

「鯛一郎クン」育成に欠かせないヒミツとは?

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「エサやりはただあげればいいってもんじゃないからね。鯛の体をつくる大事な仕事なんだ。それに、実際エサを与える前にしなきゃならないもうひとつ大事な作業があるんだよ」

真剣な表情で、そう語る徳弘さん。

エサやりの前の大事な作業が何かを聞こうとしたところ……、

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「みんな、おはよう!ごはんだよ、愛してるよぉーっ!」

いきなりイケスの水面に顔を近づけ「愛してるよー!ありがとうー!」と叫びまくる徳弘さん…!!

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実はこれ、「言葉には言霊があって、プラスの言葉は周囲のエネルギーを高める効果がある」という徳弘さんの愛読書のテーマと信念に基づいて行われる、エサやりの前の声かけ。

徳弘さんによれば、「ありがとう、愛してる」の言葉は、エネルギー効果を高める一番のパワーワードなんだそうです。

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徳弘さんの声を聞きつけたのか(?)、鯛たちがいそいそと水面近くに上がってきました!

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「おはよう、みんな元気だね!ちゃんとごはん食べるんだよ」と鯛に声をかけながら、ゆっくりていねいにイケスの中にエサを落としていく徳弘さん。

このエサが鯛一郎クンづくりの一番のヒミツ。鯛の健康を第一に考え、天然由来の原料ばかりを30種類以上混ぜた、プレミアムブレンドなのだそうです。

言葉をかけながら、観察しながら、ていねいにエサを与えているため、かなりの時間がかかるエサやり作業。

機械を使えばすぐに片付いてしまうらしいのですが、それでは本末転倒。魚だって体をつくる元気のモトは食べ物。栄養価があるエサをベストな状態で魚に食べさせてあげることが、おいしい鯛づくりの一番の秘訣なのです。

牛は松阪牛、米はコシヒカリ、鯛は鯛一郎クン!を目指す

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徳弘さんの趣味はお酒。日本全国に散らばる鯛一郎クン料理を提供しているお店を訪ねては、そこで一杯飲むのが至福のひとときと話します。

「みなさんがおいしいって鯛一郎クンを買ってくれて、笑顔で食べてくれる。おいしいって言葉が聞けて、お客さんの笑顔が見られたときがホント最高ですね。真鯛養殖に取り組んできてよかったって思いますよ」

天然鯛に匹敵するといわれる鯛一郎クンの質のよさと、一年を通して安定して供給できることが評判に評判を呼び、取引先はおかげさまで右肩あがりに増えているとのこと。

「牛は松阪、米はコシヒカリとか、そのものを代表する一番ブランドってあるじゃないですか、そこにいずれは並びたいですね。牛は松阪、米はコシヒカリ、鯛は鯛一郎クン、って呼ばれるところまでいってみたいです」

南予は宇和島のきれいな海の広いイケスで愛情たっぷりに育てられた徳弘さんの鯛一郎クン、そう呼ばれる日も近いのではないでしょうか。

▼(株)タイチ

http://taichiro-kun.com/